ホイチョイハイカーとロングトレイル(仮) VOL.1


 瓦奇岳なんて変な名前だなって今でも思うし、いまでもこの名前で良いのかぶっちゃけ不安になる時もありますが(英語でもっとカッコいい名前考えられただろと…笑)、まぁスタートした以上これでいくしかないと腹を括っている店主です。さてそんなヘンテコな名前の瓦奇岳には様々なスタイルを持ったハイカーさんが集まってくれるわけです。

 今回のテキストを寄稿してくれた方は、サラリーマンハイカーのワタナベさん(以下ナベさん)。ナベさんは栃木の低山に詳しく、週末には車・電車・バスを駆使し、各地を歩き回っているハイカーだ。忙しい仕事と家族サービスをこなしながら、限られた時間の中で山に入っている。そんなナベさんが4月のある日、「今度みちのく潮風トレイルに行ってくるんです」と教えてくれた。みちのくは僕もとても気になっていて、いつか自分でも歩いてみたいと思っていた。大変おしつけがましくも、その場で原稿書いてくれませんかとダメ元でお願いしてみた。ガイドブックやネットには載っていない、リアルで等身大な「みちのく潮風トレイルのセクションハイク旅行記」を僕自身も読みたかったし、平日は仕事をガッツリこなす1人のサラリーマンハイカーが、どのようにして時間をつくり、歩いているのか? そしてその先になにがあるのか、どう感じるのか? に興味があったからだ。これからみちのくを歩かれる予定の方は勿論、ロングトレイルやハイキングカルチャー諸々に興味ある方の参考になれば最高です。


文と写真: ワタナベ (amd764)
構成: shiro kojima (kawarakidake)

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私ワタナベは40代も半ばのサラリーマン
いつもお世話になっている瓦奇岳店主コジマさんから、みちのく潮風トレイル(MCT)の体験記を書く機会を頂いた。んなもん書いたことないけど良い機会だし、備忘録と踏破願掛けを兼ねて感じたまま記そうと思います。

みちのく潮風トレイルは
青森から福島迄の1025kmの道
通して歩くスルーハイカーもいれば
区間を区切って歩くセクションハイクに別れる。
もちろんワタナベは後者

今回の大まかなルートは
宮城県名取市から福島県松川浦まで
スタートはMCTの情報を発信している名取トレイルセンター。

一応地図は買ってあるのだが、コースタイムが書いてあるわけでも無いし、大まかな距離が買いてある程度。オープンワールドゲームよろしく自由度が高い。うーむ自由すぎるのだ。



各市町村の協賛スタンプラリーなんかもあるので踏破記念に是非ゲットしておこう。

地図を見ながらスタートとゴールを決めて補給やスタンプポイントとかを確認していった。場所によってはルートから離れていたりするのでどう歩けば良いのかちょっと悩やましい。

地図は10冊に分かれていて今回使うのは最南端の10冊目97kmを歩く事にした。とは言えそんな距離通して歩いたこと無いし、1日辺りのどのくらい歩けるのか?疑問だ。1日大体25km位で4日あれば行けるかな?とりあえず3泊4日で行くことに。本当は予備で1日多く見ておきたかったけどそんなに家開けられないし。

次にロングトレイルと言えば野営だ。今回の課題でもあり憧れみたいなものがあったので、ハイカーたるもの野営してなんぼじゃろーとGooglemapで野営候補地を調べていた。

でも、調べれば調べるほど民家や住宅街が多く普通の街なのだ。なので初日は岩沼の民泊を予約して、後は天気と進み具合で決める事にした。

ってな訳で4月末日
有給を使い世間様より少し早めのGW
早朝、スーツのおじさんに紛れハーフパンツのおじさんが駅構内を歩く

宇都宮→仙台、名取と新幹線とバスを乗り継いでワタナベ名取市閖上に立つ。



名取市は津波の影響だろうか更地が多く、区画整理された真新しい住宅地だった。平日とは言え、地元の方らしき人達が海沿いテクテクしている。寒くないの?と地元の方々に心配の声を頂くもワタナベは元気

早速、スタンプを押しながら名取トレイルセンター(TC)に到着。センター長の板谷サンはトレイルの調査?で不在だったが、松川サンにとても丁寧に対応頂きワタナベ勇気100倍。ホントはゆっくりしたかったけど、キョドッてしまい早々に出てしまった。





初日の目標は名取、岩沼を抜けて亘理町の境まで
名取市から岩沼市まではモデルコースとは異なる防潮堤を歩くことにした。(だってスタンプポイントそっちにあるんだもん)

左には海と砂浜、右には真新しい防潮林?が延々と続く。遠くにはスタンプポイントの一つである仙台空港があり国内国際線がひっきりなしに飛び交う。

とても単調な道なのだが波の音を聞き、潮風を浴びながら時折空を見上げると飛行機。不慣れな自撮り棒に悪戦苦闘しながらもそれっぽい写真を撮ってみたり。ただ歩いているだけなんだけど、キモテぃイイ。自販機もコンビニもなくて喉カラカラなのは内緒だ。



そんな時スマホがブルブル
仕事の電話だった(わざわざ個人の携帯に!)
用件はすぐに済んだのだが、風切り音や飛行機の音が聞こえる為か、何処にいるの?から始まり質問攻めにあう。結局、ロングトレイルなんて通じる訳もなく説明している私自身が変な事してるよなぁと実感。ぶつぶつ言いながら気を取り直して歩き続ける。

気が付けば仙台空港は目前、名取市ともそろそろお別れだ。



今回、想定外だったのがスマホのバッテリー。街中歩きなのでGoogleMapが必須なのだ。(もちろん地図も持って行ったけど)その上、ログも取っていたので電池の減り具合が凄い。写真も撮るし、モバブーだけでは充電が追い付かなくて焦る。

仙台空港には有料の充電ステーションがあった。初めて使った。それではお昼にしよう。せっかく仙台来たし牛タン食べたかったけど、めちゃ混み。とりあえず空いていたお店に入り、天もりそばと生中を注文。天ぷらとソバをつつきながら飲みたかったが、蕎麦も天ぷらも来るのが遅くてひたすらグビグビ。食事が来た時にはジョッキは空。生中おかわり。

ほろ酔いのワタナベは気持ち良くテクテク開始。
海沿いには公園が整備されていて小高い丘が沢山。どうやら津波が来た時の避難場所なんだそうだ。植樹された防潮林の意味を理解して納得。




水分不足でビール飲んだもんだから脚が攣りそうだ。お腹もいっぱいで少し眠いし、四阿で休憩しよう。




ちょいと休みすぎでしまった。羊サンと戯れたりしながら岩沼市の街中へ。




そういや全然ハイカーに遭ってない
そっか、俺有給だからかまだ皆仕事してるんだな。

コンビニでお酒とつまみを買って民泊へ向かう。想像以上に住宅街でビビる。回りの視線が気になるけど軒下でテントを広げる。



シャワーと洗濯機、コンセントを借りてテントで横になる。なんだろうテントって良いよね。居酒屋行くつもりだったけどめんどくさくなっちゃった。

さて、2日目の朝です。
早朝、向かいの家の子供に凝視される。(やあ少年。おはよう)

今日からは海沿いを離れて、街多めの山ちょっとのルート。しかも3日目にかけて雨予報だから今日は少しでも前に進みたい。阿武隈川を渡る途中で亘理町に入る。橋を渡るとMCTの案内板。MCTにいる事を実感。



とりあえずスタンプポイントがあるレストランを目指す。ホントは初日この辺でステルスの予定だったんだけど、見通しが良すぎたのと、想定より人の往来が多かった。(民泊バンザイ)この歳で職質はいやよ。

住宅街を抜けて開店同時に目的のレストランに到着
朝飯兼ねて人気メニューを注文。量が多くて焦ったが、美味しくてムシャムシャもぐもぐ。コーヒーも美味しい。携帯も充電させてもらって良い出だしでぐいぐい進む。



コースから大幅にズレて亘理駅へ向かう。
この辺で一気にスタンプペタペタ。

ここで恐ろしい注意書きを見つけてしまったのだ。



なんと野宿者が居て困っている。
見つけたら警察に通報してくださいと、、、
ナ、ナンダッテー

うーん。うすうす気づいていたけど、整備されている=認識されてるだろう。なんて思っていたけど現実はそんなもんだよね。

不安に駆られながらも山を目指す。
お昼過ぎから山に入るの初めてでなんかドキドキする。深山頂上で家族連れに会うも落ち着かなくてそそくさと下山。




さて、そろそろ寝床確保しておきたい時間。一応この辺の公園でゴロンする予定だったが、まだ明るいし家族連れがちらほら。汗拭きながらコーラで平静も装うも怪しくなってきてドキドキ。だってなんか微妙な距離に民家! 人! 民家! おばちゃん!

参ったなー疲れたし、お風呂入りたいしビール飲みたいからビジホもあたるか、、、(っつても進行方向とは違うからなぁやだなぁ戻るの)空きがなかったらそん時はそん時だなーと思ったけど、やったね空いてました。2時間位歩くも寝床確保出来たワタナベの足取りは軽い。

ここで嫁さんから電話。
どこにいる? とか、いつ帰ってくんだ? とか、なんかちょっとご機嫌ナナメ。計画時点からちゃんと説明したしカレンダーにも書いたのに、、、お土産?そんなの持ち歩けないよ。

なんか一気に現実に引き戻されるね。山は電波無いからその辺幸せよーんでホテル着。ザックの中身だして洗濯して部屋干し、乾燥、充電、パッキングし直してザックもすっきり。




シャワー浴びれればって思ってたけど温泉が併設されてるし、漫画も沢山あってなにコレどんなJourney?畳の上でゴロゴロする。気持ち良いしお酒も進む。自販機の缶ビールが高くてちょっぴり山小屋気分。ふかふかのベットで早く休みたかったけど鬼滅の刃読んでたら遅くなっちゃった。残りは新地と相馬。朝の天気でどうするか決めよーっと。

3日目の朝。やっぱり雨じゃん。ホテルで正解やね。心よーし傘持って出発!でも、すぐに雨が強くなって早々に心が折れる。



その後も雨は降ったり止んだり
もくもくと歩いて、ペタペタスタンプ




(飽きてきて)ちょいショートカットしながら相馬に入る。曇ってはいるが雨も上がってきたしこの調子だとすんなり松川浦に着きそう。

今度は子供から電話。なんだ寂しくなっちゃったんだなヨシヨシと思ったら見守りswitchの解除依頼でした。

そんなこんなで夕方に松川浦に到着。
公園の方に写真を撮ってもらうも上手く行かなくてわちゃわちゃする。

最後に乾杯しようとビール買っておいたのに
おじいさん情報で相馬迄のバスがあるってことで急いでバス停迄走る走る。

ゼーハーゼーハーしてバス停に着くも、バスなんか無かった。ねえよバス。曜日が違うっぽい。一人しょぼくれていると信号待ちのパトカーから熱視線。しょぼんとしながら缶ビール飲みながらを5km近く歩いて相馬駅に向かって今回の旅はお終い。

結局、ハイカーには合わなかった。
YAMAPのすれ違いが0人

アッという間ですがこれが私の初MCT。
残り925km!行けるかな。

正直、今回の区間が色々と厳しいとは聞いていたけど、体力より単調な街歩きと寝床が無いのが辛いかな。ハイカーが地域に認知されている様には感じなかったし。

でも、よくよく考えれば街並みの中に道がある訳で、MCTを知らない人からすればザック背負った人が近所歩いて、公園とかで寝てたらちょっとビックリしちゃうよね。アルプスみたく山深い特別なロケーションじゃないし、こっちのテンションと温度差があって当然ね。今回それが経験出来たので、次からは少し肩の力を抜いて楽しめると思う。宮城、岩手辺りが色々ありそうで楽しみ。

長文になりましましたが最後までお付き合い頂きありがとうございます。既に歩かれた方、アドバイスありましたらご教授下さい。コレからって人にはちょっとでも参考になったら良いなと思います。

[Profile]
ワタナベ、40代半ば
栃木県県央在住。飼い慣らされた普通のサラリーマン。家庭内窓際族。末っ子が味方。10代後半から渓流釣りを通して山に入る。基本的に広く浅く自分に甘く。山は地元多めのたまに近県遠征。電車バスを利用した縦走にお酒を絡めるのが好き。ロングトレイルは関東ふれあいの道と茨城県北ロングトレイルを齧る程度。
instagram: amd764